2008-01-01から1年間の記事一覧
当然、あの名曲が入っているはず、と思って買ったのに、しっかりとその曲だけは抜け落ちているということがある。T.REXであれば『20世紀少年』がないあのDVD、とか田原俊彦なら『抱きしめてTonight』(『教師びんびん物語』主題歌)が収録されていない、こ…
出版社に勤めていたころ、お昼休みによく、神保町の古本屋さんをひやかして回ったものだ。それまで存在すら知らなかった、とてもおもしろそうな本に出会えるのが、楽しみだった。それを手に取って、値札を見て愕然とする。それもまた楽しみの1つか。 蔵書整…
段ボール箱を開けて本を取り出し、1冊ごとに書誌情報をチェックしていく。タイトル・著者名・出版社名は、たいていカバーや表紙に記されているものだが、出版年は奥付を見ないとわからない。 函入りの本だと、函から本体を出してやる必要がある。こいつは、…
工事中の夜道や大型店舗の入り口で交通誘導をする方々の赤灯が、凍えそうな風の中、かすかな、ほの暖かさを感じさせてくれる季節になった。ふと『赤灯えれじい』(きらたかし、2000年代中期より『ヤングマガジン』(講談社)連載)のあの二人、交通誘導のバ…
高校時代のぼくは、かなりのミステリ・マニアだった。でも、ジョルジュ・シムノンは例外だった。『黄色い犬』だけは読んだのだが、いまひとつ納得がいかなくて、そのままにしてしまったのだ。 メグレ警視のよさが分かるようになったのは、大学生になって東京…
先頃、亡くなられた米国俳優ポール・ニューマン氏。『ハスラー』、『スティング』など出演した名作は数多い。 幼い頃。淀川長治氏の解説付きでブラウン管を通して、出会った、初めてのハッピーエンドでない映画、それが。1967年、ニューマン氏の出演した『暴…
ネズミ男ではない。それは水木しげる『ゲゲゲの鬼太郎』のアンチ・ヒーローであり、大泉洋のはまり役だ。 湯浅明著『ネズミ人間の誕生』(自由国民社、1980年)。刺激的なタイトルだ。そして、カバーに使われている図版。どこから取ってきたのかわからないが…
歌舞伎座で歌舞伎を観たことが、一度だけある。 いわゆる天井桟敷、三階席で。 まっすぐ前を見ると視界の半分以上は天井である。 花道は見えない。時々、花道で見栄を切る、方々の首だけが覗く。 しかし、舞台の全体像は、かえって把握しやすかった。 河竹登…
年内最後の蔵書目録入力作業。今週は、金曜日3名、土曜日6名の参加で、22箱、約1150冊を済ませました。トータルで291箱、1万1150冊が終わったことになります。残念ながら目標の300箱には届きませんでしたが、ご参加いただいたみなさん、おつかれさまでし…
堀辰雄といえば、『美しい村』や『風立ちぬ』で知られる小説家だ。軽井沢あたりの高原で、詩を書いたり油絵を描いたりしている男女のちょっとおしゃれな生活。そんなイメージがある。 だから、『堀辰雄 杜甫詩ノオト』(内山知也編、木耳社、1975年)という…
11月28日、さて今日はどの箱を開けようかと700箱を越える段ボールの山を眺める。目録作りに協力している人たちは、作業日の、好きな時間に倉庫に来て、興味のある箱を開ける。これまで私は「歌舞伎・能」「神話・宗教」「広告・メディア」の箱をやってきたの…
氏のテレビはかなり前から故障していた。直さないままだった。 しかし、映るうちは観ていた。 『en-taxi』(扶桑社)誌上にて、そうお答えになっていた、と記憶している。 今、ここにある、1923年制作の『バスター・キートンの恋愛三代記』(VHSビデオ:I…
『ナンセンスの練習』『円の冒険』『写真のど真ん中』……。草森紳一という人は、タイトルの付け方がうまかったなあ、と思う。 書籍編集者をやっていると、タイトルというのは、書籍のほとんど全てなんじゃないかと思うことがある。タイトルだけで売れる本、タ…
毎週、金曜日と土曜日になると、都内のある倉庫の2階に、どこからともなく、ノートパソコンを抱えた、何やらいわくありげな面々が集まってきます。少ない日は、3、4人。多い日は、7、8人。 そこには、本がぎっしり詰まった段ボール箱が、山のように積ま…
御蔵書の中には、限定「1部」というものもあった。 学生街を思い起こさせる、詩などの同人誌もある。 学生街。今では、TVドラマなどで振り返るだけだ。 成宮寛貴くん出演の『ハチミツとクローバー』の「ゼロ年代」、透明な風景よりも、坂口憲二氏、倍賞美…
草森紳一先生の蔵書の中には、全集の「切れ端」があちこちに散らばっている。『荷風全集』や『安藤昌益全集』『エイゼンシュテイン全集』『名作歌舞伎全集』などなど。かなり数が揃っていそうなものもあるが、本当に全巻揃っているのかどうかは、全ての段ボ…
御蔵書の中には、当方の「近過去」を思い起こさせる書物もある。 『町でいちばんの美女』。チャールズ・ブコウスキー著、青野聰訳。新潮社。単行本。 1994年3月20日初版。ピンクの付箋が一枚貼られた御蔵書は、1996年9月30日の第16刷。当時、本書を青山ブ…
蔵書の整理をしようとすると、目録作りは必須だ。一度積み上げた段ボール箱を再び開けながら、その作業に取りかかったのは9月の終わりのことだった。 1冊1冊を箱の中から取りだして、書名・著者名・版元名・刊行年を入力していく。そのためには、本の奥付…
長年の知己から、受け取ったメールに添付された、地図をひらつかせながら。 その倉庫に行ってみた。季節はまだ、夏だったのだろうか? 文字通り、その日だけ顔を出して、あわよくば、何かコネクションか、珍品の一冊でも、という根性がなかった、と言えば嘘…
崩れかけた本の洞窟……。 その部屋に足を踏み入れた瞬間、ぼくの頭に浮かんだのは、そんなことばだった。 担当編集者としてお付き合いを重ねる中で、草森先生が膨大な蔵書をお持ちだということは、よく聞かされていた。しかし、それがこのわずか2DKのマン…