2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧
稲森いずみさまと藤原紀香さまに、阿部寛氏が入り乱れる、フジテレビ、TVドラマ版『ハッピーマニア』については断片的にしか思い出せない。連載完結の数年前、20世紀末のドラマなので、原作と大枠で矛盾しない、オリジナルの「結末」が設定されている。ち…
1999年の7月といえば、「ノストラダムスの大予言」である。ぼくが子どもだったころ、この月に空から恐怖の魔王が降りてくるであろう云々というその予言のことを知らない少年は、皆無だったのではないだろうか。しかし、その年、7月はおろか12月が終わって…
いま、このタイトル、を変換しようとして果たせなかった。ふぼん、と読む。宮本武蔵氏は生涯不犯、であったと伝えられている。つまり、早い話が、一生、女を抱かなかった、ということである。草森紳一氏の御蔵書にも残されていた、井上雅彦先生の渾身の作品…
大学1年生の4月のこと。知り合いになったばかりの同級生たちと一緒に、渋谷から地下鉄に乗ったことがあった。そのころのぼくには、「銀座線」という名前だけでも、「東京に来たんだなあ」という感慨をもよおさせるには、十分だったものだ。 電車は動き出す…
以前に3回連続で、『170 CHINESE POEMS』という洋書の中からT'AO CH'IEN 作「SUBSTANCE, SHADOW, AND SPIRIT」という詩をご紹介した。英訳で初めてこの詩と出会ったのでオリジナルの漢詩について何の知識もなかったけれど、陶淵明の「形影神」だと教わり原…
お金が通用しない、使えない時、何が通貨代わりになるか。一昔前までは、特に戦争映画・マンガの世界では、大抵「煙草」だった。ニヒルな副主人公あたりが不慮の死を遂げる時、主人公にせがむのは。決まって「最後の一服」だった。 かつては、米軍兵士の支給…
もう10年くらい前、ある出版社で漢和辞典の仕事をしていたころ、いつかプラスチックのケースに入った漢和辞典を作ってみたい、と考えたことがある。 透明なプラスチック・ケースの中に納める本体の表紙クロスは、たとえば、赤、青、緑の3色を用意する。本文…
明治文学、講義。この前の続きから本を開きます。 ちょっと飛んでp15。 ≪元来中國文學の飜譯はすでに奈良朝から起つているが、歐洲文學は近世初頭であり、アラビアンナイトの斷片やイソップは徳川時代の説話や假名草子に現はれてをり、明治以降になると、…
遠い、昔。朝の表参道で待ち合わせした女性の、サザビーのリュックからはその日の朝刊が覗いていた。喫茶店に入って、二人して、珈琲を飲みながら、煙草を吸い、新聞を読んた。どこかの原発で小さな事故があった日だと思う。それから、今はもうない同潤会ア…
学生時代、ぼくは大学のオーケストラで、ヴィオラという楽器を弾いていた。ヴァイオリンより少し大きく、チェロよりはだいぶ小さい、目立たない、地味な楽器である。 といっても、ぼくは生来の不器用だし、ひとに何かを教わるということが嫌いだし、根気よく…
父の蔵書には、線がいっぱい引っぱってある本が多い。だから「どちらにしろ古本屋では売れないわね」と母が残念そうに言った。でもこの線の引かれた跡をみていく事が、私としてはかなり楽しい。そこに生きている父が甦って来る気がするから。目録の入力が終…
とある午後、ちょっとした悪さでもしでかしたのだろう。小学生、低学年だろうか、子どもを叱る声と泣いて謝る声が、窓の隙間から暫く流れ込んでいた。久々に聞く、子どもの泣きじゃくる声。聞くとはなしに聞いていたが、無事、お許しを得たらしく、ひっくひ…