崩れた本の山の中から 草森紳一 蔵書整理プロジェクト

「最後の文人」草森紳一は、2008年3月東京の自宅マンションで急逝しました。自室に遺されたのは山と積まれた3万冊余りの本たち。このブログでは、蔵書のその後をお伝えします。

「最後の文人」草森紳一は、2008年3月東京の自宅マンションで急逝しました。自室に遺されたのは山と積まれた3万冊余りの本たち。このブログでは、蔵書のその後をお伝えします。

哲学・宗教

学問。

文化人類学。この言葉が、80年代に、一部で持っていた「呪力」というものを、どう説明したらよいものか。相原コージ先生の出世作『文化人類ぎゃぐ』の位置どりなど、そのころに生まれた、若い人にとっては『コージ苑』以上に意味不明な世界だろう。 宮台真司…

議論。

議論じみたことをするときは、ギャラリーがいた方が燃える。良い面を挙げれば、二人きりではふくらまない論点に、その場の雰囲気、「受け」によって気づかされ、論を発展させることが、できる。悪い面。人前での勝ち負けにこだわりすぎて、さまざまな自己矛…

項目。

カメラに詳しい先輩に、カメラについての曖昧な質問をしたことがある。ふだん親切な先輩が、ぶすっと「百科事典、引いた?」と言った。図書館で平凡社の百科事典を引くと、あっさり、その疑問は解決した。それまで、百科事典を「実用」したことがなかったの…

上海から東京へ

人が旅をするように、本もまた旅をする。 本が「本」の形になって世に出るのは、製本所を出るときだ。でも、そこから先の旅路はさまざまである。取次、書店を経て、読者の手元へ届くもの。売れ残って、出版社の倉庫に眠るもの。著者の手にわたって親しい人に…

風がページをなぜる

長年の知己から、受け取ったメールに添付された、地図をひらつかせながら。 その倉庫に行ってみた。季節はまだ、夏だったのだろうか? 文字通り、その日だけ顔を出して、あわよくば、何かコネクションか、珍品の一冊でも、という根性がなかった、と言えば嘘…

その先は永代橋 白玉楼中の人