崩れた本の山の中から 草森紳一 蔵書整理プロジェクト

「最後の文人」草森紳一は、2008年3月東京の自宅マンションで急逝しました。自室に遺されたのは山と積まれた3万冊余りの本たち。このブログでは、蔵書のその後をお伝えします。

「最後の文人」草森紳一は、2008年3月東京の自宅マンションで急逝しました。自室に遺されたのは山と積まれた3万冊余りの本たち。このブログでは、蔵書のその後をお伝えします。

2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

いちいちツッコミを入れないで!

「スター・トレック」といえば、アメリカの人気SFシリーズだ。宇宙船エンタープライズ号が遭遇する、数々の「驚異に満ちた物語」を描いたその最初のテレビシリーズ(1966〜69)は、今では伝説的な作品となっている。ぼくの中高生のころには、日本語吹き替…

単行本。

私事だが、当方には。単行本はおろか、雑誌もなかなか捨てられないという悪癖がある。しっかり再生してもらった方が世のためになる、と分かっていても名残惜しいのだ。 草森紳一、氏の御蔵書、全てを精査したわけではなく、以下は雑駁な印象に過ぎない。ただ…

淡い緑の中に

一昨日、昨日と、東海さん、Living Yellow氏、そして円満字の3人で、思い立って草森先生のご実家の書庫を拝見に出かけてまいりました。 日食が見えるか見えないかを気にしつつ、羽田空港を飛び立ったのは午前11時過ぎ。太陽を背に一路北上して、とかち帯広…

31回目の重版

自宅で仕事をするようになって以来、電気代を少しでも節約したいので、仕事中はできる限り、エアコンのスイッチを入れないようにしている。暑い盛りでも、エアコンの使用は昼下がりの数時間にして、あとは窓を開けて、風を通してなんとかしのぐ。 もちろん、…

蔵書をいったいどうするか(10) まったくもって奇跡の日々

目録作りが終わってから2ヵ月余が過ぎた。 この連載のタイトルは『蔵書をいったいどうするか』だけれど、で、結局、「蔵書はいったいどうなるの?」と心配してくださっている方が多いと思う。 すみません! まだご報告できる段階ではありません! 手をこま…

芸者。

芸一筋といえば、江戸落語の世界では、深川の辰巳芸者、柳橋、芳町、新橋の名前が良く挙がる。本音と建前が不分明な世界ではあるが、所謂、花魁、太夫の方々の活躍する廓と、これらの芸者さんたちの世界、一応は分けて考えておいたほうが、落語を聞くにも都…

クラッシックとの相性

去年の6月末、東京の九段会館で「草森紳一をしのぶ会」が催された。その席上、先生と親しかった方々のスピーチももちろん印象に残ったのだが、ぼくの記憶に最も鮮やかな影を留めたのは、飾られた遺品の1つ、ぼろぼろになるまで使い込まれた漢和辞典だった…

学問。

文化人類学。この言葉が、80年代に、一部で持っていた「呪力」というものを、どう説明したらよいものか。相原コージ先生の出世作『文化人類ぎゃぐ』の位置どりなど、そのころに生まれた、若い人にとっては『コージ苑』以上に意味不明な世界だろう。 宮台真司…

歴史はこびりつく

『山椒魚』や『黒い雨』で知られる小説家の井伏鱒二は、若いころ、出版社に勤めていたが、奥付のない本を作ってしまった責任を取って、辞めた。――ほんとうかどうか知らないが、そんなエピソードを、読んだことがある。 いかいも井伏らしい話だなあ、とも思う…

その先は永代橋 白玉楼中の人