私事だが、当方には。単行本はおろか、雑誌もなかなか捨てられないという悪癖がある。しっかり再生してもらった方が世のためになる、と分かっていても名残惜しいのだ。
草森紳一、氏の御蔵書、全てを精査したわけではなく、以下は雑駁な印象に過ぎない。ただ。氏は、多くの場合、マンガを単行本(廉価本含む)の形でしか、お手元に置かなかったようである。当たり前の話かもしれない。あの単行本の分量にして、それに対応する、週刊誌、月刊誌の山があったら、総容積は信じられない大きさになるはずだ。
ただ、「COM」(虫プロ商事)とか、「ガロ」(青林堂)などの、「特別な」雑誌は分けて手元に置いておられる、マンガ読みの方々は、かなりいらっしゃると思う。草森紳一、氏に関しては、そうした形跡は余り見られない。専ら、単行本勝負だったようである。
氏の部屋から、ある時、大量の月刊誌、週刊誌が運び出されたことが、あったか、どうか。今となっては知る由もない。
当方の知る限り、氏の同時代マンガへの関与の度合いは、その第一次石油ショック期以後、かなり減少したように思える。当時、担任の先生に、トイレットペーパーの無駄遣いでとっちめられていた、当方には。はるか遠く、しかし、確かに同時代の出来事である。