工事中の夜道や大型店舗の入り口で交通誘導をする方々の赤灯が、凍えそうな風の中、かすかな、ほの暖かさを感じさせてくれる季節になった。ふと『赤灯えれじい』(きらたかし、2000年代中期より『ヤングマガジン』(講談社)連載)のあの二人、交通誘導のバイトで知り合った、若い「フリーター」のカップルはどんなラストを迎えたのか、気になってきた。
『工業哀歌バレーボーイズ』(村田ひろゆき)の続編の展開に、正直怯えてしまって、ヤングマガジンそのものから遠ざかっている。
2、3年ほど前、とある若い、東北の友人と話していて、「週刊少年マガジンも、週刊少年ジャンプも、週刊少年チャンピオンさえも。だんだん週刊少年サンデーぽくなってきたんですよ」という彼の分析に意気投合した記憶がある。
ストーリーは「選択」を重視する、ゲームに近い構成になり。男女のキャラクターともにアニメっぽい絵が逆流してきていて。世界観もパラレルワールド、近未来、などの印象が色濃い。うっすらラブコメの伝統を墨守。それが「サンデー」的。
『ケロロ軍曹』を擁する『少年エース』(角川書店)、『鋼の錬金術師』を抱える『少年ガンガン』(スクウェア・エニックス)についてはまた、別腹なのだが。マンガを連載で読み続ける、体力とも呼ぶべきものをなくしてから、2年以上経つ。「サンデー的」流れも見失い、随分経った。
高熱にも耐え、赤灯を振る、独身、中年の建築現場監督(正社員)、黒沢氏。
関係を改善した同僚に連れられて、ファミリーレストランに行く、その内心は。
「だいたいネーミングが傲慢だ…!」
「ファミリーレストランなんてあっさり言い切るが、世の中にはな…」
「ファミリーに縁のない奴だって、いっぱいいるんだぞ…!」
「拒絶する気かよ…!」
「このレストラン群どもは…!オレたち…シンガー(独り者)を…!」
まさに、そのファミリーレストランで、酔いに任せ、「絡んできた」中学生を「撃退」した瞬間から。彼の「運命」は変わりはじめる。
その後の黒沢氏については、書名をクリックいただき。BK1上に寄せた拙文を読んで頂けたら。
「空虚な。中年の生、とその復活」という、、チェーホフ『ワーニャ伯父さん』にも通底する、困難極まりないテーマに、『カイジ』の福本伸行先生が真っ正面から取り組んだ傑作である。
床屋で、週刊少年マガジンの表紙に「福本伸行」の文字を見て。
手にとったら。「どうぞ」と呼ばれてしまい。待合席を立った。
「いつもと同じで」。
あのマンガ『バーバーハーバー』(小池田マヤ、関連拙文BK1書評ポータル投稿済)みたいだった。
どんなマンガ雑誌も発売されない、ある日曜日の朝。