2008年の夏は、あっという間に過ぎ去った。
猛暑と、ゲリラ豪雨と、はてしない本の量の思い出を残して。
一時うだるような暑さにボランティアの人数も半減してしまったけれど、気合のラストスパートで、約3万冊(これがはっきりわからない)の整理は8月2日(土)に終了。この日はちょうど花火大会の日。倉庫会社のご好意でビルの屋上をお借りして、みんなで本当の“打ち上げ”を満喫した。
のびのびとした気分になれたのは、6月以来挙がったり消えたりしていた本たちの行く先が一ヶ所に絞られ、そこが廃材を利用した文庫を建てたいと言ってきたからだった。
場所は草森さんの故郷、帯広。
故郷には、高さ9メートルの書庫(山下和正氏設計)がある。サイロのような白い書庫に、緑の牛舎のような図書館なんてどうかな、広大な十勝に合うかも知れない。
東京の本たちも、草森紳一の故郷に帰るんだ。それがいいかもしれない、ありがたい。遺族はそう思った。
夢見ながらも現実的に物事を進めていかなきゃあ!
仲介者の了解をやっともらって9月初め帯広に飛び、責任者にお会いした。
「課題がいくつかあります。場所については市の許可が必要(折衝は始まっていて珍しく市は前向きとか)。設計も検討しますが書斎は必要ですか? 問題は蔵書の整理なんです。建屋が出来るまで札幌の倉庫にまず送ってもらってと考えていますが、1ヶ月でも東京から指導に来てくれる人はいませんか?」。
帰京した私はさっそく、慶応大学の先生方と夏にお世話になった二人組に長文のメールを送った。PCに向かっていたちょうどこの夜、二人組は夏以来久々に食事。整理の日々のことを語り合っていたとは!
まもなく、北海道での整理がスムースに進められるよう「蔵書整理第二部・目録作り」がスタートする。
もう9月も終わり……帯広からのご返事はまだ来ない……延長の倉庫代にハラハラ……。草森さんに古書店の借金がほとんどないことが分かり安堵してはいたけれど……帯広のご返事をいつまで待つべきか……