学生時代の四畳半の夢を見た。昭和、の四畳半である。下駄箱で靴を脱いで2階へ上がっていった。廊下に出て驚いた。積み上がった本の山である。日頃愛想の良かった隣人達は一様に口を閉ざす。いくらなんでも、と見ていくと、全て身に覚えのある、本たちである。友人たちがやってくる。進級試験まであと一時間である、と。憎からず思っていた女の後輩が部屋に上がりたい、とやってくる。
片づけねば。しかし、どこから。これは夢だ、と気づいた。しかし、なかなか醒めない。ようやく目覚めると、ここもやはり、本だらけの部屋の中だった。
夢を語ることは難しい。語ろうとするはしから、忘れ、変形していく。古代の夢占いから、現代のフロイト先生、ユング先生の精神分析における夢分析まで。人はこぼれ落ちていく、夢に意味を追い求めてきた。だが、ことば、と夢は繋がっているはずなのだが、そこには、どこか、脱臼しているようなもどかしさがいつも、存在するのではないだろうか。
昭和43年(1968年)、瀬戸内の田舎町の、煙草とバイクを愛する高校生、蜂屋は。ある夢を見る。「怪獣デメキングが東京を滅ぼす」夢だ。そして、海辺で「平成5年」と記され、瓶に詰められた。デメキングの存在の証拠、を手にする。
昭和にとって平成は確かに未来だ。しかし。昭和にとって、平成は全く未知で、予測不可能な世界だった。
その夢にとりつかれ、焦燥にかられながら。蜂屋はバイトに明け暮れ、高校を卒業し、上京する。デメキング、その正体とは。
本作品連載中の「ビジネスジャンプ」を。当方がコンビニエンスストアで立ち読んでいたころ。店内の有線からは、1968年にRCサクセションを結成した、忌野清志郎氏の、若者をスキーに誘う歌声が流れていた。
ラジオから、忌野清志郎氏の訃報が。当方の「暗い青春」を支えてくれたのが。氏の歌声でありました。謹んで、氏のご冥福をお祈り申し上げます。