崩れた本の山の中から 草森紳一 蔵書整理プロジェクト

「最後の文人」草森紳一は、2008年3月東京の自宅マンションで急逝しました。自室に遺されたのは山と積まれた3万冊余りの本たち。このブログでは、蔵書のその後をお伝えします。

「最後の文人」草森紳一は、2008年3月東京の自宅マンションで急逝しました。自室に遺されたのは山と積まれた3万冊余りの本たち。このブログでは、蔵書のその後をお伝えします。

『中国文化大革命の大宣伝』発売!



 3万2000冊弱の蔵書リストの入力作業を終えて、はや1月近く。週末の倉庫通いがなくなってしまうと、なんだか調子の狂ってしまう、そんな毎週を送っております。
 今週は、久しぶりに倉庫へ足を運んでみました。といっても、「つわものどもの夢のあと」を見に行ったわけではなく、芸術新聞社さんに貸し出してあった何箱かの蔵書を、返していただけることになったからです。
 1989年から足かけ11年にわたって『広告批評』に連載された「中国文化大革命の大宣伝」。草森ファンの間では、有名な巨大連載の1つです。これが今回、芸術出版社さんから上下2巻、1200ページの単行本として、刊行されることになりました。そのための資料として、関係がありそうな蔵書を何箱か、担当編集者のNさんがお持ちになっていたのです。
 連載回数108回。文字数にして約100万字。
 これだけの膨大な原稿に真摯に取り組み、引用の原文にあたったり、関連図版を揃えたりなさったNさんのご努力には、ほんとうに頭が下がります。その合間合間には、入力作業のお手伝いまでしていただきました。ありがとうございました。そして、刊行おめでとうございます!
 Nさんからいただいたメールから、パブリシティ用の宣伝文の一節を引用しておきます。

 草森は、「執筆時に頭によぎったことは、一件無関係でも、何か繋がりがあるはずだから書く」という主義で、本書も、学術的な文革論とは明確に一線を画しています。「ゴルゴ13」や、中国詩論、ユーモア論など縦横無尽です。そして、その先には悲劇の中にあっても「生き続けようと意志する」人間の姿が見えてくるはずです。
 ファン待望! 『中国文化大革命の大宣伝』(上下2巻)、芸術新聞社さんから、5月27日発売です。

その先は永代橋 白玉楼中の人