崩れた本の山の中から 草森紳一 蔵書整理プロジェクト

「最後の文人」草森紳一は、2008年3月東京の自宅マンションで急逝しました。自室に遺されたのは山と積まれた3万冊余りの本たち。このブログでは、蔵書のその後をお伝えします。

「最後の文人」草森紳一は、2008年3月東京の自宅マンションで急逝しました。自室に遺されたのは山と積まれた3万冊余りの本たち。このブログでは、蔵書のその後をお伝えします。

お花見気分に背を向けて



 春爛漫。街を歩くと、入学式に向かうとおぼしきういういしい親子連れや、明らかに入社したばかりの、スーツ姿もどこかぎこちない若者を見かけます。東京の桜も、ようやっと満開。いい季節を迎えました。
 そんな中、わが蔵書プロジェクトは、何を思ったか今週も強化週間。お花見気分の世間に背を向けて、倉庫に籠もって一心不乱。水曜日2名、木曜日2名、金曜日4名、土曜日はなんと8名のご参加を得て、49箱、2227冊の入力を完了。ここまでの成果は、トータルで605箱、2万5831冊となりました。
 懸案だった中国語の原書の箱も、ここ2週間、集中的に作業をしたかいがあって、残り10箱前後にまで減りました。全体でも、残り約100箱。いよいよ、ゴールが見えてきました。ゴールデンウィーク前の入力完了へ向けて、あと一息です。
 約3万冊の蔵書といえば、小さな図書館1館分に相当するでしょうか。そう考えると、新しく図書館を作るというのは、ほんとうに大変なことなのですね。何万冊もの蔵書を集めるだけでなく、それをリスト化して、分類して、番号を振って、貸し出し可能な状態にまで整えるのは、現在、私たちがやっている作業の何倍もの困難を伴うはずです。この作業を通じて、いつもお世話になっている「図書館」という存在のありがたみを、身をもって実感しています。
 草森紳一先生の蔵書も、将来、何らかの形で、広く一般の方々に活用していただけるようにできればいいのですが……。

その先は永代橋 白玉楼中の人