崩れた本の山の中から 草森紳一 蔵書整理プロジェクト

「最後の文人」草森紳一は、2008年3月東京の自宅マンションで急逝しました。自室に遺されたのは山と積まれた3万冊余りの本たち。このブログでは、蔵書のその後をお伝えします。

「最後の文人」草森紳一は、2008年3月東京の自宅マンションで急逝しました。自室に遺されたのは山と積まれた3万冊余りの本たち。このブログでは、蔵書のその後をお伝えします。

春の風の色

 桜の「開花宣言」とやらが出されると、待ちかまえていたかのように冬将軍が舞い戻ってくる、この季節。

  ハナニアラシノタトヘモアルゾ
  「サヨナラ」ダケガ人生ダ

 井伏鱒二の『厄除け詩集』の一節を思い出しながら、少し気合いを入れ直そうと、蔵書整理も「強化週間」。水曜日から作業をして、水曜2名、木曜2名、金曜4名、土曜3名のご参加。その結果、いつもよりは成果も上がって、入力済みの冊数は、556箱、2万3604冊となりました。
 これでだいたい、全体の8割の入力作業を済ませたことになります。残り2割。なんとか4月の1か月間でメドをつけたいわけですが、はてさて、どうなりますことやら。
 ゴールデン・ウィーク前という目標が達成できるかどうかはともかくとして、入力そのものの終わりが見えてきたことだけは、たしかです。そう思うと、気分も明るくなるのですが、そこで考えなくてはならないのが、その先のこと。
 きちんとした「目録」に仕上げるためには、校正と分類の作業はどうするのか? もう一度、700箱にも及ぶ段ボール箱を開き直して、それに取り組むだけの気力はあるのか? そうして、肝心の蔵書の行く先は? 一括寄贈はなかなかむずかしいとしても、明治の和綴じ本や、美術関係の豪華本など、中核となるような貴重な書籍をまとめて引き取って、「草森紳一」の名を冠して役立ててくださるような機関はないものか?
 春の訪れとともに、わが蔵書整理プロジェクトに吹く風の色も、変わりつつあるようです。

その先は永代橋 白玉楼中の人